はじめに:外壁塗装の費用、その不安を解消します
【この章の要点】
外壁塗装は10年に一度の大きな買い物であり、費用に関する不安はつきものです。
本記事では、2025年の最新費用相場から内訳、業者選びまで、網羅的に解説します。
正しい知識を身につけ、納得のいく価格で高品質な工事を実現することが目的です。
「そろそろ外壁塗装の時期だけど、一体いくらかかるんだろう?」
「見積もりを取ったけど、この金額が適正なのか分からない…」
大切なお住まいを守るための外壁塗装ですが、多くの方が費用に関する不安を抱えています。特に初めて塗装をされる方や、10年以上ぶりで相場観が分からない方にとっては、数十万〜百万円以上にもなる出費は大きな悩みどころでしょう。
放置すれば、見た目の悪化だけでなく、雨漏りや構造体の劣化につながり、かえって修繕費用が高くつく可能性もあります。
本記事では、そんなあなたの不安を解消するため、以下の情報を網羅的に解説します。
- 2025年最新の坪数別費用相場
- 足場代から塗料代まで、詳細な費用の内訳
- 塗料の種類による価格と性能の違い
- 見積書の正しい読み方とチェックポイント
- 失敗しない業者選びのコツと、実際にあったトラブル例
この記事を最後まで読めば、外壁塗装の費用に関する正しい知識が身につき、複数の業者からの見積もり(相見積もり)を比較検討する際にも、自信を持って判断できるようになります。大切なお住まいの価値を守り、安心して長く暮らすための第一歩を、この記事と共にはじめましょう。
【ひとことアドバイス】
リフォームで最も多いトラブルの一つが費用に関するものです。事前にしっかりと相場や内訳を理解しておくことが、不要な出費や業者とのトラブルを防ぐ最大の防御策となります。
【2025年版】外壁塗装の費用相場|坪数別の全国レンジと価格の決まり方
【この章の要点】
30坪の戸建ての場合、一般的なシリコン塗料で約80万〜120万円が相場の目安です。
費用は「塗装面積(㎡)× 単価(円/㎡)+ 諸経費」で決まります。
正確な費用は、建物の形状や劣化状況によって大きく変動するため、必ず専門家による現地調査が必要です。
まずは、最も気になる「結局いくらかかるのか?」という点について、全国的な費用相場のレンジを見ていきましょう。
坪数別・外壁塗装の費用相場(総額)
一般的に多く使用されるシリコン塗料を基準とした場合の、坪数別の費用相場は以下の通りです。
| 延床面積 | 塗装面積の目安 | 費用相場(シリコン塗料/税込) |
|---|---|---|
| 30坪(約99㎡) | 110~130㎡ | 80~120万円 |
| 40坪(約132㎡) | 150~170㎡ | 100~150万円 |
| 50坪(約165㎡) | 180~210㎡ | 120~180万円 |
| 60坪(二世帯など) | 220~250㎡ | 150~220万円 |
※注意:上記はあくまで一般的な目安です。建物の形状、劣化状況、使用する塗料のグレード、付帯工事の有無によって価格は大きく変動します。
費用の算出方法:単価と面積の基本
外壁塗装の費用は、主に以下の計算式で算出されます。
総費用 = Σ(各工程の単価 × 数量)+ 諸経費
ここで重要なのが「塗装面積」です。これは「延床面積」とは異なり、実際に塗装を行う壁の面積を指します。一般的に以下の式で概算できます。
外壁の塗装面積(㎡)≒ 延床面積(坪)× 3.3(㎡/坪)× 係数(1.2~1.4)
係数は建物の形状によって変動します。例えば、シンプルな総二階建てなら1.2に近く、凹凸の多い複雑な形状の家では1.4に近くなります。この面積から、窓やドアなどの開口部を除いたものが実際の塗装面積となります。
【ひとことアドバイス】
「坪単価○万円」といった広告には注意が必要です。塗装面積や下地の状態を無視した価格提示は、後から追加費用が発生する原因になります。正確な見積もりは、必ず現地調査の上で、項目ごとに単価と数量が明記された詳細な内訳書を求めることが重要です。
外壁塗装の費用内訳を徹底ガイド|8つの項目でまるわかり
【この章の要点】
外壁塗装費用は「足場代」「塗装代」「その他工事費」の3つに大別されます。
総額のうち、足場代が約20%、塗装代(材料費+人件費)が約50%、その他が約30%を占めるのが一般的です。
特に下地補修やシーリング工事は、建物の寿命を左右する重要な工程です。
「100万円の見積もり」と言われても、何にいくらかかっているのか分からなければ、その価格が妥当か判断できません。
ここでは、費用の内訳を8つの項目に分けて詳しく解説します。
費用の内訳一覧表
| 大項目 | 詳細項目 | 単位 | 2025年相場レンジ(税別) | 費用割合 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仮設工事費 | ①足場設置(メッシュシート含) | ㎡ | 800~1,200円 | 約20% | 安全と品質確保に必須 |
| 塗装工事費 | ②高圧洗浄 | ㎡ | 200~400円 | 約2% | 塗料の密着性を高める |
| ③養生 | ㎡ | 250~450円 | 約3% | 窓や車を汚れから守る | |
| ④下地補修 | 箇所/m/式 | 5,000~30,000円 | 約5% | ヒビ割れ(クラック)補修など | |
| ⑤シーリング工事(打ち替え) | m | 900~1,500円 | 約10% | サイディングの目地 | |
| ⑥外壁塗装(下・中・上塗り) | ㎡ | 2,000~5,000円 | 約30% | 塗料のグレードで大きく変動 | |
| その他 | ⑦付帯部塗装 | m/箇所/式 | 50,000~200,000円 | 約15% | 雨樋、破風、軒天など |
| ⑧諸経費 | 式 | 工事費の10~15% | 約15% | 現場管理費、交通費、保険料など |
※注意:2017年時点の価格等を参考に、現在の一般的な市場価格を反映した参考値です。実際の価格は地域や業者、現場の状況により異なります。
各項目の詳細解説
- 1. 足場設置費:安全な作業と高品質な仕上がりのために不可欠です。近隣への塗料飛散を防ぐメッシュシートの費用も含まれます。
- 2. 高圧洗浄費:長年の汚れやコケ、古い塗膜を洗い流し、新しい塗料の密着性を高める重要な工程です。
- 3. 養生費:塗料が付着してはいけない窓やサッシ、植木、車などをビニールで保護します。
- 4. 下地補修費:ヒビ割れ(クラック)や塗膜の剥がれなどを補修します。この作業を怠ると、どんなに良い塗料を使っても数年で剥がれてしまう原因になります。
- 5. シーリング工事費:サイディング外壁のボード間のつなぎ目(目地)を埋めるゴム状の部材です。劣化すると雨漏りの原因となるため、塗装と同時に打ち替えるのが一般的です。
- 6. 外壁塗装費:「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが基本です。塗料の種類によって単価と耐用年数が大きく変わります。
- 7. 付帯部塗装費:雨樋、軒天、破風板、水切り板金など、壁以外の部分の塗装です。これらの部分も劣化するため、外壁と同時に塗装するのが効率的です。
- 8. 諸経費:現場管理費、廃材処理費、交通費、労災保険料など、工事を円滑に進めるための費用です。
【ひとことアドバイス】
見積書で「一式」という表記が多い業者は要注意です。詳細な内訳を出さないのは、何かをごまかしている可能性があります。各項目について、単価と数量(面積や長さ)が明確に記載されているか、必ず確認しましょう。
【塗料別】費用と耐用年数の比較早見表|最適な塗料を選ぼう
【この章の要点】
塗料は「費用」と「耐用年数」のバランスで選ぶことが重要です。
現在主流は、コストパフォーマンスに優れたシリコン系やラジカル系です。
長期的な視点では、初期費用は高くてもフッ素系や無機系が結果的にお得になる場合もあります。
塗料選びは外壁塗装の費用と寿命を決定づける最も重要な要素です。以下に代表的な塗料の種類と特徴をまとめました。
| 塗料の種類 | 単価(3回塗り/㎡) | 耐用年数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| シリコン | 2,300~3,500円 | 10~15年 | コストと性能のバランスが良い。現在の主流。 |
| ラジカル制御 | 2,500~4,000円 | 12~16年 | 紫外線による劣化に強い。シリコンより長持ち。 |
| フッ素 | 3,500~5,000円 | 15~20年 | 高耐久で汚れにくい。商業ビルなどで実績多数。 |
| 無機 | 4,000~5,500円 | 20~25年 | 最高レベルの耐久性。石のように硬い塗膜を形成する。 |
| 遮熱・断熱 | 2,800~5,000円 | 10~20年 | 夏の室温上昇を抑える省エネ効果。 |
注意
上記の情報は一般的なものです。塗料の性能や価格は製品やメーカーによって異なるため、最新の情報はメーカーのカタログや技術資料で確認してください。
【ひとことアドバイス】
塗装業者によっては特定のメーカーの塗料しか扱わない場合があります。希望する塗料がある場合は、事前に複数の業者に相談し、取り扱いが可能か確認しましょう。また、建物の素材(モルタル、サイディングなど)や立地環境(日当たり、湿気など)によっても最適な塗料は異なります。専門家とよく相談して決めることが大切です。
【坪数別】3つの料金プラン比較|30坪・40坪・二世帯の概算シミュレーション
【この章の要点】
標準プラン(シリコン):最も選ばれる一般的なプラン。
中長期プラン(ラジカル/フッ素):15年以上の耐久性を求める方向け。
長期・高耐久プラン(無機/遮熱):メンテナンス回数を減らしたい方向け。
ここでは、具体的な坪数と3つの料金プランを掛け合わせて、総額がどのように変わるかシミュレーションしてみましょう。
【計算の前提条件】
壁面積の算出式:延床面積(坪)× 3.3 × 1.2
シーリング工事:サイディング外壁を想定し、壁面積に応じたm数を計上
諸経費:工事費合計の12%で計算
価格は税別表記です。
30坪(壁面積 約120㎡)の費用シミュレーション
| 項目 | ①標準プラン(シリコン) | ②中長期プラン(フッ素) | ③長期・高耐久プラン(無機) |
|---|---|---|---|
| 仮設足場 | 144,000円 | 144,000円 | 144,000円 |
| 塗装工事費 | 456,000円 | 600,000円 | 696,000円 |
| 付帯部塗装 | 100,000円 | 120,000円 | 150,000円 |
| 小計 | 700,000円 | 864,000円 | 990,000円 |
| 諸経費(12%) | 84,000円 | 103,680円 | 118,800円 |
| 合計(税別) | 784,000円 | 967,680円 | 1,108,800円 |
| 税込合計 | 約86.2万円 | 約106.4万円 | 約122.0万円 |
40坪(壁面積 約160㎡)の費用シミュレーション
| 項目 | ①標準プラン(シリコン) | ②中長期プラン(フッ素) | ③長期・高耐久プラン(無機) |
|---|---|---|---|
| 仮設足場 | 192,000円 | 192,000円 | 192,000円 |
| 塗装工事費 | 608,000円 | 800,000円 | 928,000円 |
| 付帯部塗装 | 130,000円 | 150,000円 | 180,000円 |
| 小計 | 930,000円 | 1,142,000円 | 1,290,000円 |
| 諸経費(12%) | 111,600円 | 137,040円 | 154,800円 |
| 合計(税別) | 1,041,600円 | 1,279,040円 | 1,444,800円 |
| 税込合計 | 約114.6万円 | 約140.7万円 | 約159.0万円 |
二世帯住宅(60坪・壁面積 約220㎡)の費用シミュレーション
| 項目 | ①標準プラン(シリコン) | ②中長期プラン(フッ素) | ③長期・高耐久プラン(無機) |
|---|---|---|---|
| 仮設足場 | 264,000円 | 264,000円 | 264,000円 |
| 塗装工事費 | 836,000円 | 1,100,000円 | 1,276,000円 |
| 付帯部塗装 | 180,000円 | 200,000円 | 230,000円 |
| 小計 | 1,280,000円 | 1,564,000円 | 1,770,000円 |
| 諸経費(12%) | 153,600円 | 187,680円 | 212,400円 |
| 合計(税別) | 1,433,600円 | 1,751,680円 | 1,982,400円 |
| 税込合計 | 約157.7万円 | 約192.7万円 | 約218.1万円 |
【ひとことアドバイス】
上記のシミュレーションはあくまで概算です。特に下地補修費は劣化状況によって大きく変わります。ヒビ割れが多かったり、既存の塗膜の剥がれが深刻だったりすると、追加費用が必要になる場合があります。
外壁塗装の価格が変動する7つの要因とコスト最適化の秘訣
【この章の要点】
価格は建物の状態(劣化具合)、形状、立地条件などに大きく左右されます。
助成金・補助金の活用や、火災保険の適用がコスト削減の鍵になることもあります。
複数の業者から相見積もりを取り、内容をしっかり比較することが最も重要です。
価格を押し上げる要因
- 1. 建物の大きさ・形状:塗装面積が広いほど、また凹凸が多く複雑な形状ほど、手間と材料費が増加します。
- 2. 劣化状況:ヒビ割れ、カビ、コケ、塗膜の剥がれがひどい場合、下地処理に時間と費用がかかります。
- 3. 使用する塗料のグレード:フッ素や無機塗料など、高耐久な塗料は初期費用が高くなります。
- 4. 3階建て以上の建物:足場の設置が大掛かりになり、費用が割高になります。
- 5. 付帯工事の多さ:雨樋の交換や屋根塗装などを同時に行うと総額は上がりますが、足場を有効活用できるため、別々に行うよりお得です。
- 6. 周辺環境:道が狭くトラックが入れない、隣家との距離が近いなどの場合、作業効率が落ちて人件費が加算されることがあります。
- 7. 特別な要望:2色以上の色分けや、特殊なデザイン塗装は追加料金がかかります。
コストを賢く抑える方法
- 1. 助成金・補助金を活用する:お住まいの自治体によっては、省エネ(遮熱塗装など)や景観維持を目的とした助成金制度があります。必ず事前に確認しましょう。
- 2. 火災保険の適用を確認する:台風や雪、雹(ひょう)などの自然災害による外壁の損傷は、火災保険が適用される場合があります。保険会社に問い合わせてみましょう。
- 3. 地元の優良業者に依頼する:大手ハウスメーカーやリフォーム会社は下請け業者に発注するため中間マージンが発生しがちです。地元の塗装専門店に直接依頼する方が、費用を抑えられる傾向があります。
- 4. 塗装の閑散期を狙う:一般的に春・秋が繁忙期、夏・冬が閑散期です。業者によっては閑散期に割引キャンペーンを行うことがあります。
- 5. 相見積もりを取る:最も効果的で重要な方法です。3社程度の業者から見積もりを取り、価格だけでなく、工事内容、塗料の種類、保証内容などを総合的に比較検討しましょう。
【ひとことアドバイス】
「モニター価格で大幅割引」「今契約すれば半額」といった急かすような営業トークには注意が必要です。高品質な工事には適正な価格が必要です。安さだけを追求すると、手抜き工事や早期の劣化といったトラブルにつながるリスクが高まります。
悪徳業者を見抜く!見積書の読み方12のチェックリスト
【この章の要点】
良い見積書は「誰が見ても分かりやすく、詳細である」ことが特徴です。
「一式」表記が多い、数量や単価が不明確な見積書は信用できません。
契約前に、少しでも疑問があれば必ず業者に質問し、納得できる説明を求めましょう。
複数の見積書を比較する際に、どこを見れば良いか分からないという方も多いでしょう。以下の12項目をチェックすることで、その業者の信頼性を判断できます。
- 1. 会社の基本情報(社名、住所、連絡先、担当者名)が明記されているか?
- 2. 見積もりの日付と有効期限が記載されているか?
- 3. 工事を行う建物の情報(住所、建物名)が正確か?
- 4. 塗装面積(㎡)が項目ごとに具体的に記載されているか?(外壁、軒天など)
- 5. 各工程の単価と数量が明確か?(例:足場 ○○㎡ × ○円)
- 6. 「一式」という曖昧な表記が多用されていないか?
- 7. 使用する塗料のメーカー名、商品名、缶数まで記載されているか?
- 8. 塗装回数(下塗り・中塗り・上塗りの3回塗り)が明記されているか?
- 9. 下地補修やシーリング工事の内容が具体的に書かれているか?
- 10. 付帯工事の内容(どこを、どの塗料で塗るか)が明確か?
- 11. 諸経費の内訳について質問した際に、納得のいく説明があるか?
- 12. 保証期間と保証内容が書面で示されているか?
【ひとことアドバイス】
見積書は、契約書の一部となる重要な書類です。口頭での約束はトラブルのもとになります。少しでも変更点や追加の要望があれば、必ず書面に残してもらうようにしましょう。
失敗しない業者選び5つの原則とよくある失敗例
【この章の要点】
地元の実績、専門資格の有無、詳細な見積もりが業者選びの基本です。
契約を急がせたり、極端な値引きを提示したりする業者には警戒が必要です。
実際に工事を行った人の口コミや評判も重要な判断材料になります。
業者選び5つの原則
- 1. 地元で長年の実績があるか:地域に根差した業者は、悪評が広まることを恐れるため、誠実な仕事をする傾向があります。アフターフォローも迅速です。
- 2. 建設業許可や専門資格(塗装技能士など)を保有しているか:一定の技術力と信頼性の証となります。
- 3. 詳細で分かりやすい見積書を提出してくれるか:前章のチェックリストを満たす業者を選びましょう。
- 4. 施工事例や顧客の声を公開しているか:過去の仕事ぶりを確認できる重要な情報です。
- 5. 保証やアフターサービスが充実しているか:工事後の万が一の不具合にも誠実に対応してくれるか、書面で確認しましょう。
実際にあったトラブル事例から学ぶ失敗例
実際に起こったリフォームのトラブルが多数報告されています。これらを参考に、避けるべき業者の特徴を学びましょう。
失敗例1:契約内容が曖昧で追加費用を請求された
契約書や見積書の内容が曖昧なまま工事を進めた結果、後から「これは含まれていない」と高額な追加費用を請求されるケースです。
失敗例2:安さに釣られたら、すぐに不具合が発生した
相場より極端に安い価格を提示する業者は、塗料を薄めたり、塗装回数を減らしたりする手抜き工事を行う可能性があります。結果、数年で塗膜が剥がれ、再塗装が必要になることもあります。
失敗例3:工事が始まると、現場が整理されていなかった
現場の整理整頓ができない業者は、工事全体の管理能力が低い可能性があります。下請け業者への指示が不十分で、施工品質に問題が出ることもあります。
【ひとことアドバイス】
業者との打ち合わせ内容は、必ずメモを取り、記録に残しましょう。担当者の言うことが変わる、質問に対して誠実に答えない、といった場合は、契約を見送る勇気も必要です。
知っておきたい実務知識|工期・季節・近隣への対応
【この章の要点】
一般的な戸建て(30坪程度)の工期は約10日〜14日が目安です。
塗装に適した季節は、天候が安定している春か秋です。
工事前には、業者と一緒に近隣への挨拶回りを行うのがマナーです。
標準的な工期と工程
天候が順調だった場合の、一般的な工程と日数の目安です。
| 日数 | 工程 | 作業内容 |
|---|---|---|
| 1日目 | 足場設置 | 足場の組み立て、メッシュシートの設置。 |
| 2日目 | 高圧洗浄 | 壁や屋根の汚れを洗浄する。 |
| 3日目 | 乾燥・養生 | 洗浄した壁を完全に乾燥させる。窓などを養生。 |
| 4~5日目 | 下地処理・シーリング | ヒビ割れ補修、シーリングの打ち替えなど。 |
| 6日目 | 塗装(下塗り) | 接着剤の役割を果たす下塗り材を塗装する。 |
| 7日目 | 塗装(中塗り) | 希望の色を塗装する1回目。 |
| 8日目 | 塗装(上塗り) | 仕上げの2回目の塗装。塗りムラを防ぐ。 |
| 9日目 | 付帯部塗装など | 雨樋、破風などの細部を塗装する。 |
| 10日目 | 確認・手直し | 業者の自主検査、施主による最終確認。 |
| 11日目 | 足場解体・清掃 | 足場を解体し、周辺を清掃して完了。 |
最適な季節は?
塗料は、気温5℃以下、湿度85%以上の環境では正しく乾燥せず、性能を十分に発揮できません。そのため、一般的に以下の季節が塗装に適していると言われます。
適している:春(3~5月)、秋(9~11月)
注意が必要:夏(梅雨や猛暑)、冬(低温や降雪)
ただし、最近は塗料の性能が向上しており、条件さえ整えば夏や冬でも施工は可能です。
近隣への挨拶と対応
工事中は、足場の設置音、高圧洗浄機の音、塗料の臭いなどで、近隣に迷惑をかける可能性があります。事前に工事業者と一緒に挨拶に伺い、工事期間や内容を説明しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
【ひとことアドバイス】
天候によって工期が延長することは珍しくありません。工事が遅れても慌てず、品質を優先してもらうことが大切です。悪天候の中で無理に作業を進めると、施工不良の原因になります。
外壁塗装の費用に関するFAQ(よくある質問)
Q1. 足場代はなぜこんなに高いのですか?無料になりませんか?
A. 足場は作業員の安全確保と、丁寧な作業による品質維持に不可欠なものです。費用は人件費と材料費で構成されます。「足場代無料」をうたう業者は、その分を他の項目に上乗せしている可能性が高いため、注意が必要です。
Q2. シーリング工事は必ず必要ですか?
A. サイディング外壁の場合、シーリングの寿命は10年前後のため、塗装と同時に行うのが強く推奨されます。シーリングの劣化を放置すると、雨漏りの直接的な原因になります。
Q3. 見積もりや現地調査は無料ですか?
A. ほとんどの業者で無料です。ただし、詳細な劣化診断や報告書作成を依頼する場合は、有料になることもありますので、事前に確認しましょう。
Q4. ローンは利用できますか?
A. 多くの業者でリフォームローンを提携しています。金利や条件は様々なので、複数の選択肢を比較検討しましょう。
Q5. 相見積もりは何社くらい取るのがベストですか?
A. 3社程度が一般的です。多すぎると比較が大変になり、少なすぎると相場観が掴みにくくなります。
Q6. 塗料の臭いはどのくらい続きますか?
A. 現在は水性塗料が主流で、臭いはかなり少なくなっています。工事中〜数日は窓を閉め切る必要がありますが、完全に乾燥すればほとんど気にならなくなります。
Q7. 保証期間が長いほど良い業者ですか?
A. 一概には言えません。長期保証をうたっていても、保証内容が曖昧だったり、会社自体がなくなってしまっては意味がありません。保証内容を書面でしっかり確認することが重要です。
Q8. DIYでの塗装は可能ですか?
A. 小さな補修程度であれば可能ですが、家全体の塗装は推奨されません。高所作業の危険性、下地処理の専門性、塗料の正しい知識などが必要となり、失敗するとかえって高くつくリスクがあります。
Q9. 火災保険で足場代もカバーできますか?
A. 自然災害による被害の復旧に必要な工事と判断されれば、足場代も含めて保険金の支払い対象となるのが一般的です。詳しくはご加入の保険会社にご確認ください。
Q10. 助成金はいつ申請すればいいですか?
A. 多くの自治体で、工事契約前の申請が必要です。予算の上限に達すると締め切られてしまうため、塗装を検討し始めた段階で、まずはお住まいの自治体のホームページを確認するか、窓口に問い合わせましょう。
まとめ:賢い外壁塗装は情報収集から|今すぐできる3つのアクション
外壁塗装は、決して安い買い物ではありません。しかし、適切な時期に適切なメンテナンスを行うことで、お住まいの資産価値を長期的に守ることができます。
今回解説した内容を参考に、ご自身の家の状態と予算に合った最適なプランを見つけてください。そして、最も重要なのは、信頼できるパートナー(塗装業者)を見つけることです。
最後に、納得のいく外壁塗装を実現するために、今すぐできる3つのアクションをご紹介します。
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【アクション1】お住まいのセルフ診断をしてみる
まずはご自宅の壁を手で触ってみてください。白い粉が付きませんか?(チョーキング現象)。ヒビ割れやコケ、シーリングの切れはありませんか?。スマートフォンのカメラで気になる箇所を撮影しておくと、業者に相談する際に役立ちます。 -
【アクション2】複数の専門業者に相見積もりを依頼する
1社だけの見積もりでは、その価格や内容が適正か判断できません。必ず3社程度の専門業者に現地調査と見積もりを依頼し、じっくり比較検討しましょう。 -
【アクション3】自治体の助成金・補助金制度を確認する
お住まいの自治体のホームページで「外壁塗装 助成金」などと検索してみてください。数十万円の補助が受けられる可能性もあります。申請には条件や期限があるため、早めの確認がおすすめです。









